風物詩

1月最終日で日曜日。何にもしないことをバリバリしていたらいつの間にか日が暮れていた。

増田みず子『小説』(田畑書店)を読んだ。およそ20年ぶりの新刊。増田みず子といったら、枡野浩一の「作家の読書道」で〈暑すぎる図書館は冬「海燕」で増田みず子の結婚を知る(枡野浩一)〉という歌を知ったが、ほんとあれだけシングルシングルシングルシングル言っていて、はあ結婚したんですかそうですかっ!という感じだが、ひとりものひとりもの言っていて、はあ結婚したんですかそうですかっ!の津野海太郎と私のなかでは同じグループに分類されている。島田雅彦や多田尋子などとならび6度の芥川賞最多落選。今、新刊が読めるのが嬉しい。ここのところ、目がエンタメ小説のスピード感に慣れていたので、ギアをシフトダウンして一篇一篇ゆっくり読んだ。

明日から2月。そろそろ「みすず」の読書アンケート特集号の時期だ。
古本界隈のおじさん方は「みすず」の読書アンケート号が好きだ。そんなおじさん方は、また坪内祐三も大好きだ。山田稔も大好きだ。編集工房ノアが大好きで「海鳴り」を競って入手したがる。三月書房も大好きだった。最近の中公文庫の渋めのところのラインナップも大好きだ。詩歌にも詳しいとこをこれみよがしに披露したがる。そういう自分にも、そんなおじさんエキスがほんのちょびっと入っているので気持ちはわからんでもない。
毎年「みすず」の読書アンケート号をめくっていると、日々自分が読んでいる本がごくごく限られた範囲のものでしかないことを思い知らされる。百何十人かのアンケート回答者のなかで、ピンポイントで積極的に回答を知りたいと思うのはその1割程。「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない」(池澤夏樹スティル・ライフ』)を知るうえで大切な風物詩だ。