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ヨムヨムエブリデイ

文庫の解説

昔、愛読していて終了したWeb連載がひょいと復活して読めるようになるのは嬉しいものだ。最近では、幻冬舎のサイトで10日に1度更新される藤田香織の「結局だらしな日記」が楽しみ。カジュアル系の日記で、これを読むと無性にエンタメ小説を読みたくなる。

もう一つは、元「考える人」の編集長河野通和の「ほぼ日の学校長だより」。「考える人」時代のメルマガから愛読している。今は、草野心平について。へーと思い、中公文庫の『酒味酒菜』を読んでみることにした。文庫解説を高山なおみが書いていて、解説を書くために初めてこの本を読んだという記述があった。なんかね、文庫の解説は、その人とその本のことが好きで好きでたまらん人に書いてもらいたいなあ。あまりにも好きすぎて周りが見えなくなっているのはキモいけど、それぐらい愛があるのがいい。仲よしグループで解説を回し合い褒め合っているのとか、義理で書いたのとか、つまらない。山田詠美が書いた、村上龍『すべての男は消耗品である。』の解説のような辛辣な名解説もあるけれど。

北上次郎『書評稼業四十年』の中に、杉江松恋大森望は、つまらない文庫解説の依頼ほど、自分がサービスしなきゃと萌える、本がつまらないと解説が長くなる、とある。北上次郎池上冬樹は、自分がいいと思う作品しかとりあげない「傑作派」なのだそう。
そのせいかわからないが、北上次郎が熱く語る本は、自分の好みとずれているのだけど、妙にそそられるところがある。

本の雑誌チルドレンだった頃、北上次郎が激オシしていた『パイナップルの彼方』と『ブルーもしくはブルー』を読み、山本文緒にはまってからずっと追いかけていてずいぶん時が流れたのに、まだその新刊『自転しながら公転する』を楽しみに読めるなんてありがたいことだなと思っている。