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ヨムヨムエブリデイ

再読

用事でたまたま近くにいるので食事でもと誘われ、友人Tと仕事終わりに落ち合う。餃子とビールがありさえすればゴキゲンのTと食べる際は、たいていチェーンの中華料理屋だ。メニューを睨みながら悩んだ末、ラー、チャー、餃のハーフセットを頼む。月曜日からめんどくさいな、早く帰りたいなとはじめは思っていたのだが、味の濃い中華を食べながら他愛もない話をグダグダしているうちに、何かいろいろどうでもよく、愉快な気持ちになってきた。

コンビニでアイスクリームを買い、藤野可織『おはなしして子ちゃん』(講談社文庫)を読みながら帰る。近頃『ピエタとトランジ<完全版>』が刊行されたのに、元の短編をあまりよく覚えてなくて、これはヤバいと読み返しているところ。この間『かわうそ堀怪談見習い』も読み返したのだが、たった3年前に読んだばかりなのに、その忘れっぷりに自分のことながら驚いた。再読というより初読といった感じでまた面白く読んだ。私には豪快なところなどこれっぽちもないわいと思っていたのだが、忘れっぷりは豪快だった。

歌人の山階基が『雪沼とその周辺』について書いた素敵な文章File51.忘れたころに読み返す本|昨日、なに読んだ?|山階 基|webちくまを、うんうん、そうそうと読んでいると、忘れてもまた読めばいいじゃない、いやむしろ何度も忘れて何度も読みたいと思ってしまう。『雪沼とその周辺』もそのうち読み返したい。