y o m u : n e l

2 0 2 0

おはよう

マックスの ”ハロー” を聞くのが好きだ。

ルシア・ベルリンの「ソー・ロング」の冒頭の一文だが、冒頭からこれだから堪えられんな。

私は、同僚のNさんの「おはよう」を聞くのが好きだ。一応先輩にあたるので、こちらは「おはようございます」と言うのだけれども、毎朝言ってると、「お」とか「ご」とか「す」とかがすり減って消滅してしまい「はよざま~」となる。「はよざま~」と声をかけると、少し照れながら笑いを含んだ声で「あっ、おはよう」と応えてくれる。必ず最初に「あっ」が付くのがいい。カシミヤのような手触りの声。このやわらかなカシミヤの声に包まれて二度寝したいな。でもすぐに仕事の現実が戻ってきて、カシミヤの魔法は5分で消えてしまう。

伊藤朱里『きみはだれかのどうでもいい人』があまりにもヒリヒリしてもう勘弁してください、という読後感だったので、これまで未読だったものも読んでみたくなり『緑の花と赤い芝生』と『稽古とプラリネ』を読んだ。「もったいなくて読めない」が好きな本への最上級の愛情表現なのだけど、「他のも読みたい」もかなりいいセンいってるってこと。こんなふうにじわじわ広がっていくの楽しい。太宰治賞は、津村記久子、今村夏子、栗林佐知など好きな作家が多い。