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ヨムヨムエブリデイ

題字

はー、また月曜日。先週は雨の日が多かったので晴れているだけでまだマシな気分。昨夜、マイケル・オンダーチェ『戦下の淡き光』(作品社)を読み終えたばかりなので、ちょっと息抜きをしたくて、ぱらぱら読み返したい文庫本を2冊本棚から抜いてかばんに入れる。

『鳴るは風鈴』は骨折小説の「山つつじ」を読みたくて。蟲文庫効果か。『タイニーストーリーズ』は文學界のエイミー特集で、長嶋有中原昌也というクセの強いボーイズがそろってこれを選んでいたので手に取った。中身すっかり忘れている。
月曜日らしい慌ただしさ。昼休み気晴らしに外に出て、森の贈りものシリーズの切手を買う。戻ると、いつもお菓子をくれる同僚がカントリーマアムをくれる。「チョコがいい?バニラがいい?」「じゃあ、バニラ」おやつとコーヒーと文庫本でやや復活。


ひよこ太陽図書室先週は、田中慎弥『ひよこ太陽』と岸政彦『図書室』を続けて読んだ。どちらも版元は新潮社で、どちらもカバーの題字は著者自身。いい感じ。こういう著者題字は、ぶっつけ本番で無造作にサラッと書いたものを使うのだろうか。それとも何度も何度も書いたものの中から厳選するのだろうか。やたら字がうますぎてもつまらない。『ひよこ太陽』を読んでいる間、どんより暗くて粘り気のある水中を進んでゆくような心地だった(面倒くさい元カノがいい!)のが、『図書室』に移ったとたん、あのまとわりついていた重さがスーッと軽くなるのを感じた。紙の上にある文字をただ読んでいるだけなのにこの体感、愉快。書き下ろしの自伝エッセイ「給水塔」もよかった。岸政彦×精興社だった。「文藝」連載中の柴崎友香との共作エッセイ「大阪」は、本にまとまったらじっくり読みたい。