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ヨムヨムエブリデイ

アイスクリームの灰汁

今日から15日まで夏休み。明日帰省するので、母に頼まれたお菓子などを買いに行く。出不精だから、こんなどうしてもこなさなくてはならない用事があるとあーめんどくせえとしぶしぶ出かけるが、いったん出てしまえば、本屋を覗いたり、ランチを食べたり、コーヒーを飲んだりうろうろしまくって帰り、結果的に愉快な一日となる。

雑誌の隙間を埋める1~2ページのちまちましたコラム的なものが好きだ。例えば、最近の「文藝」では「この装幀がすごい!」や「反安心安全読書日録」なんか。小袋成彬の「反安心安全読書日録」を読んでいたら、小説よりもエッセイのほうが好きな作家がいて村上春樹がそうだとあった。個人的にもそういう作家が何人も浮かび、その逆もあり、両方好きな人もいる。両方嫌いな人は多分それ以上近づかない。
小説に惹かれた作家がどんなエッセイを書くのか気になり、「文學界」9月号の今村夏子の特別エッセイを楽しみにしていた。『むらさきのスカートの女』を書くきっかけとなったドトールについて、その特定の席への執着が、どこか小説の登場人物を思わせて面白かった。

よく行く店では、そこが空いていれば必ず座る席が自分にもある。たいてい隅っこ。歩き疲れて喉が渇き最後に逃げ込んだ店の「自分の席」には先客がいたが、チッと思ったくらいでさほど執着はない。アイスコーヒーでは物足りない気がしてコーヒーフロートを注文する。コーヒーの上に浮いてくるアイスクリームの灰汁のようなものをスプーンでちまちま掬って食べながら、柴崎友香『待ち遠しい』をきりの良いところまで読んでから帰った。