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ヨムヨムエブリデイ

黒いカーディガンの女

ようやく夏のエンジンがかかってきた感じ。10日ほどあいた間に、ルシア・ベルリンにノックアウトされ、選挙が終わり、また一つ歳をとった。いつまで「じゃないほう」に投票し続けないといけないんだろう。投票率の低さを見ると、投票率と視聴率は似ているような気がする。この間の「きのう何食べた?」なんか、自分の周囲ではほぼ100%に近い人が見ていたのに、実際の平均視聴率3%台で、すんごく狭くて偏った世界で生活しているのだなと思った。

ここのところ一番オッと思ったのが、芥川賞の受賞インタビューで動く今村夏子を見られたこと。今村夏子の小説の批評や感想には必ず「不穏」という言葉がでてくるが、ああいう変な話を書く人はどういう人なのだろうと興味津々。黒いカーディガン姿で登場し記者の質問に誠実に淡々と答えながらも、どこか油断ならない感じがうっすらとするのがよかった。むらさきのスカートか黄色いカーディガンを着てきて欲しかったと言われていたが、今村夏子で画像検索すると、いつもなにかしら黒いものを身に着けているので、もしかしたらジョージア・オキーフのようなこだわりがあるのかもしれない。

読んだ本。中原昌也『パートタイム・デスライフ』(河出書房新社)何だかよくわからないが、いきなり寝袋とかラルフローレンのバスローブとかハンチングのかぶり方とか給湯器のお湯の沸かし方とかを語り始め、笑った。川本三郎『東京は遠かった 改めて読む松本清張』(毎日新聞出版松本清張を改めて読みたくなる。松本清張の文庫本をかばんに入れて旅行に行きたい。