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ヨムヨムエブリデイ

夢も見ずに眠った。

月曜日。また一週間が始まる。昼食後本を読んでいたら、同僚がアルフォートをくれた。コーヒーとよく合い、アルフォートってこんなにおいしかったっけーと思う。この同僚は、ちょうど今これが食べたかったんだというものをいつもさりげなく差し出してくれる。そのチョイスとタイミングの絶妙さといったら。自分がすると、わざとらしいさりげなさで、バリバリ恩着せがましくなったり、じっとり重たくなったりして、軽いおやつに、なにか情念とか怨念みたいなものが絡みつくようだ。そんな演歌みたいなおやつはいらないだろう。

絲山秋子『夢も見ずに眠った。』(河出書房新社)を読んだら、無性に車でどこかへ行きたくてたまらなくなり、昨日は友人を誘いドライブへ出かけた。SAでたこ焼きだのソフトクリームだので休憩しつつ海へ向かった。目的地はどこでもよく、こんなふうにぐだぐだ寄り道しながら気ままに走るのが楽しい。海を眺め、歩き、アジフライ定食を食べ、道の駅的な店で春の新鮮な野菜や饅頭を買い帰ってきた。海はいい。

『夢も見ずに眠った。』は、ある夫婦が全国各地を旅する過程で、悩み、すれ違いながら互いの関係を見つめ直していく話。夫婦中心に話が進むが、ちょこっとだけ出てくるドイツから来た、妻(沙和子)のいとこの娘の鈴香と夫(高之)との交流(ほんの十数ページ)が妙に印象に残っている。同じ著者の「アーリオ オーリオ」みたいだと思った。
他に読んだ本。金井美恵子『たのしい暮しの断片』(平凡社)。「天然生活」「家庭画報」などの連載をまとめたもので、些末で豊かな日常のなかの「気持ちの良いこと」を描く、待望のエッセイ集、なんて紹介されているから、これは白美恵子なのかと読み始めたら、読んでる間ずっと、唇のはしに歪んだ笑いが浮かびっぱなしだった。これこれ!こうでないと。あと山崎ナオコーラ『文豪お墓まいり記』(文藝春秋)を読んだ。