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ヨムヨムエブリデイ

散髪

朝、カーテン越しに差し込んでくる光の角度と明るさがすっかり春って感じで油断して外に出ると風が冷たくて、思わずひゃーと声が出る。ここのところ続いていた雨が上がり、雲ひとつない濃いブルーの空。
午後から半休を取る。今月いっぱいで本年度の有給休暇がチャラになってしまうので、とりあえず半日でも入れられそうなところにはガンガンぶっこんで消化していく方針。退勤後、日替わりランチ(チキンカツ)を食べてから、15時に予約を入れていた美容院で髪を切る。髪が伸びるのに比例して、病み感と闇感もぐんぐん増してくるようで、いつもと変わらないのに「疲れてる?」とか「体調悪いの?」とか言われるようになったらそろそろ髪を切る時期だなとわかる。かといって髪を切ってさっぱりしたところで、「なんかエネルギーが満ち溢れてるよね」とか「やる気がほとばしってるね」などと言われることは皆無なので、マイナスがゼロに近づくことはあっても、プラスになることはないんだなと思う。まあプラスにはならなくても切った髪の分だけ気持ちも軽くなり、頭を振ると自分の家とは違うシャンプーのいい匂いがして上機嫌で本屋などをふらふらめぐりながら帰る。空はまだ明るくて、夕焼けのグラデーションがきれいだった。

最近読んだ本。呉明益『自転車泥棒』(文藝春秋)はじめは、行方不明になった父と自転車を探すのにそのエピソードいる?と思いながら読んでいたが、読み終えるとそれはいるわな、というか、いる・いらないの話ではないなと思った。王谷晶『完璧じゃない、あたしたち』(ポプラ社)面白かった! 吉村萬壱『前世は兎』(集英社)ヌッセン総合カタログ! エッセイ枠は錦見映理子『めくるめく短歌たち』(書肆侃侃房)。